はじめに
和歌山県有田市では、一時「お産のできる場所がゼロ」という危機が発生しました。
この状況を打開するため、望月良男市長を中心に官民が連携し、新たに「ファミール産院ありだ」の誘致に成功。
その経緯をまとめます。
1.有田市から産婦人科が消滅
2019年12月、有田市立病院の産科が休止。
2021年12月、有田川町の民間産科も分娩停止。
結果として、有田地域全体から「分娩できる医療機関」が消滅しました。
2.医師招聘でなんとか一時的に再開
2022年2月、島根県から平野開士医師を有田市が招聘。有田市立病院で分娩が再開されました。
しかし、医師が1人では持続できず、2024年に再び分娩停止の可能性が浮上します。
3.持続可能な体制を求めて
2024年4月からの医師の働き方改革により、時間外労働時間の上限が導入。
望月市長は「開業型の産院」誘致に舵を切り、医療法人との連携を模索します。
4.官民連携と1市3町の支援
市は積水ハウスと連携し、地域に適した事業者の誘致を推進。
湯浅町、広川町、有田川町とも協力し、約1.5億円の補助金を確保。
旧・糸我保育所跡地を新施設の候補地に決定しました。
5.ファミール産院との出会い
千葉県を中心に産院を展開するファミール産院グループ(医療法人マザー・キー)に打診。
理事長の現地視察を経て、有田での開院が決定。2023年6月に市と運営協定を締結しました。
6.2024年4月、ファミール産院ありだ開院
旧保育所を活用した温かい雰囲気の産院が完成。
開院翌日には第1子が誕生し、地域のお産が本格的に再開しました。
7.望月市長のメッセージ
「お産の場を守ることは、地域の未来を守ること。
市民の不安を希望に変えるため、できることはすべてやる覚悟でした。」(望月良男市長)